導入の背景
9 月に水際対策が緩和され、10 月には、一時的に停止されていたビザ免除措置が再開したことで、世界中から日本に観光客が押し寄せています。日本政府観光局(JNTO)が発表した統計によると、11 月の訪日外客数はおよそ 100 万人に上りました。
小売業界や、ホテル、飲食業界は観光復興の波に期待を寄せつつも、パンデミックの影響から人々の人混みへの警戒心は依然として高く、ビジネスチャンス獲得のため、 この新たな課題への取り組みが求められています。
導入前の課題
人混みや混雑への対策は、観光地や商業施設では特に重要な課題となっています。とりわけスキーや避暑地として国内外から人が集まる軽井沢のショッピングモール「軽井沢プリンスショッピングプラザ」さまは、常に多くの利用者がひしめき合っています。レストランやカフェ、トイレ、観光スポットなどが充実し、観光の拠点ともいえる存在にまで発展しています。特定の場所に人が集中しないよう、リアルタイムで混雑状況を把握し、利用者に知らせることは、顧客体験の向上に直結します。
同じ頃、山梨県下部温泉郷の温泉旅館「下部ホテル」さまも同様の問題に直面していました。コロナ禍を経験したことで、 混雑に対して敏感なお客様が増え、混雑の抑制や可視化が満足度に対して大きな影響を与えるように なったのです。しかし、混雑状況を人手を使って可視化しようとした場合、現場の負担が大きくなりすぎる ため導入が進みませんでした。そこで、このような課題を解決するために、AI や先進的なテクノロジーを活用したいと考えたのです。
導入の決め手とソリューション
VIVOTEK は、日本の商業施設の様々な要件を満たすために、包括的な AI 映像監視ソリューションを 提案しています。今回、株式会社バカン様のシステムとのインテグレーションにより、約 200 台のステレオ人数カウントカメラ SC8131 が、レストラン、ホテル、その他の主要な観光地に設置されました。バカン社は、 IoT、AI を活用して「待つをなくす」DX サービスを幅広く提供する J-Startup 2019 選定企業です。 VIVOTEK のステレオ人数カウントカメラ SC8131 は、独自の 3D Depth テクノロジーを搭載し、98% 以上の精度でリアルタイムの AI 人数カウントとトラッキングが可能です。ショッピングモール内のカメラが収集したデータはホスト・システムに中継され、施設のエントランス等に設置されたデジタルサイネージに配信されます。お客様はこのサイネージから各店舗の混雑状況を一覧し、店舗選びに役立てることができるのです。実際に、このサイネージを立ち止まって見ている人がみられ、表示された混雑情報を元に店舗の選択などをしていることが期待できます。
一方、温泉旅館では、ステレオ人数カウントカメラ SC8131 は、大浴場や朝食会場といった混雑しやすい場所に設置されました。宿泊客は客室でスマートフォンを使ってQR コードを読み取り、リアルタイムに混雑状況を把握することができます。これにより、フロントなどへの混雑状況の問い合わせが減少し、実際に フロントへの問い合わせが70%減少した事例もあります。VIVOTEK SC8131 はまた、通常はカメラを設置することができない温浴施設等にも設置できる点が導入の決め手の一つになりました。同カメラでは、画像がカメラ内で処理されて数値だけのデータになるため、プライバシー保護の観点でもネガティブな要素がないのです。
導入後の効果とお客様の声
軽井沢の商業施設では、このシステムの導入により、利用者がデジタルサイネージから直接、フードコートなどの混雑状況を把握できるようになり、混雑を避けたり待ち時間を減らすことができるようになりました。山梨県の温泉旅館「下部ホテル」では、お客様が館内施設の利用状況を把握し易くなり、利便性・サービス品質を更に高 めることができました。導入する側にとって、このソリューションは大規模な改修工事を必要とせず、また操作もシンプルで操作方法の習得にかかる時間的コストの心配も少なく、総合的なコストの観点でも費用対効果が高いというメリットがあります。さらに、シンプルで美しいデザインのカメラは、建物の環境になじみやすく、機能性と美観の両方でお客様を満足させることができます。また日本でもエンジニアのサポートが受けられることもバカン社にとっては安心材料の一つでした。
今回、IP監視業界をリードする VIVOTEKは、経済産業省が選定する官民による支援プログラム J Startup 2019 選定企業である株式会社バカン様と協力することにより、様々な商業施設のアップグレードを手がけることができました。今回の連携では、VIVOTEK のステレオカメラ SC8131 で検知した数値データを、バカン社の混雑情報配信プラットフォーム vCore に通すことにより混雑状況に変換し、さらにそれらをスマートフォンやデジタルサイネージ上に配信することで、お客様がより簡単にリアルタイムで必要な情報を得られるソリューションを提供しています。