導入の背景

ヤンマーホールディングス株式会社（敬称略）は、1912年に設立され、現在、世界中で25,000人以上の従業員を抱える日本最大級の製造企業の一つです。同社は、ディーゼルエンジン技術のパイオニアとして国際市場において地位を確立し、エンジン、農業機械、設置機器、建設機械、電力システム、海洋設備など、幅広い産業機器を開発してきました。そんなヤンマーグループの中でも小型建設機械などの開発・生産・販売を担うヤンマー建機株式会社は、100年以上のものづくりから得た知識と経験をさらに活用し、より良い製品とサービスを提供するため、現在、デジタルトランスフォーメーションを会社全体で推し進めています。今回その取り組みの一環としてVIVOTEKのネットワークカメラを中心とした高度な監視ソリューションを建機組立建屋に導入し、データ活用とデジタルトランスフォーメーションをさらに加速することになりました。

導入の課題

VIVOTEK監視ソリューションの導入時、ヤンマー建機ではこの高度な監視ソリューションを取り入れることで当時抱えていた生産性・安全・品質面での以下のような課題を解決したいという想いがありました。

• AGVの監視：建屋間を運搬するAGV（無人搬送車）の経路で、トラック通路や歩行帯との交差箇所があり、そこでの事故を防止・監視したい。走行ルートからのAGVの脱線・停止を監視したい。また、さらなる改善のための課題を抽出したい。
• 組立ラインのモニタリング：検査工程で品質問題が検出された際に、現場で原因調査を行っているが、真の原因にたどり着くことが難しいことがある。カメラを設置することで振り返り分析ができるようにしたい。
• 塗装スラッジの監視：マニュアルで行っている塗装スラッジの監視を、カメラを設置することによってリモート化し、業務効率の向上を図りたい。

こうした課題をよりスマートに解決し、工場運営の効率と安全性を高めるためには、包括的なセキュリティ・ソリューションの導入が有効です。監視システムは、問題の原因を追跡できるだけでなく、それを基に改善措置を講じることにより、工場全体の運営効率を高めることができます。

導入したソリューションと効果

VIVOTEKは、このようなお客様のお悩みごとを受け、お客様のニーズに合わせたソリューションをパートナー会社と協力して提案しています。今回は、たけびし社と連携して複数種のカメラとビデオレシーバーを建機組立建屋内の生産ライン、事務所、建屋間のAGV経路等、必要箇所に設置することで業務改善を助ける先進的な監視ソリューションを提供しました

• AGVの監視:カメラが適所に設置されたことで、問題が発生した際にカメラ映像で当時の様子の確認ができるようになりました。また、太陽光が床面のQRコードに反射していたことがAGVの誤作動を発生させていたという原因が実際に究明されました。誤作動の原因が明らかになったことで適切な改善措置が講じられました。
• 組立ラインのモニタリング: 品質問題が発生した状況がカメラ映像として記録されているので、振り返り分析が可能となりました。また、その映像を作業者にも共有することで、これまで無意識だった細かな点にも意識が行き届くようになり、品質改善に役立っています。この振り返り分析は生産性や安全においても、改善課題の抽出や災害件数の大幅減少など、大きな成果を出しています。
• 塗装スラッジの監視：カメラはスラッジャーの監視用として活用されています。導入前は現場に毎時間足を運びスラッジの状態を確認する必要がありましたが、事務所内にモニターを設置し映像を常時映し出すことで離れた場所でも状態が確認できるようになり、リモートでの監視オペレーションが可能になりました。清掃が必要な時にのみ現場を訪れれば良くなったため、業務効率が大幅に改善されました。
• BIツールMotionBoardとの連携： VIVOTEKカメラをMotionBoardと連携させることで、カメラ映像を工場での作業分析や状態把握に取り入れて、よりスマートな分析が行えるようになりました。現在はカメラデータのフル活用に取り組んでいる最中ですが、カメラ導入により、確実に可能性が広がりました。

お客様の声

先進的なVIVOTEKソリューションの導入は、ヤンマー建機様から性能・価格・納期面等多方面で大変好評いただきました。ヤンマー建機様よりコメント「私たちからの要望事項だけでなく、専門的知見でより詳細な提案を頂けた点や、納期・工事など無理難題にも柔軟に対応いただきました。」パートナー会社たけびし様よりコメント：「お客様から、導入直後から早速多くの成果を出せている、と嬉しいお言葉をいただいています。本プロジェクトはヤンマー建機様の一拠点への導入でしたが、今後は全国拠点、ヤンマーグループ様全体で展開していただけるよう進めていきたい。」